人には、動物たちや、山や、神々の痛みさえ、「そんなもの関係ないよ」と切り捨てるのではなく、「自然を大切にしましょう」とアタマで考えるのでもなく、自分のお腹の中にある、正直な痛みとして、「ああ、これはひどい」と感じとる。(中略)

つまり、ある人が、貧しいものなどをみて、「ああ、見ているこっちのお腹の仲間で痛むようだ。どうにかしなくては。」と思うと、手を差しのべずにはいられなくなって、その差しのべられた手によって、人と、まわりの者や自然が、つながっていくのでした。

そうやって人をまわりの者や自然とつなげている「親切」を、人の心の中から追い出していくために、灰色は、言葉をつくるのが上手い手下たちを使って、1つの言葉をつくり上げました。

それは、「自己責任」という言葉でした。

「自己責任」という言葉を心に叩きこまれると、人は、苦しんでいる人を見かけても、「あそこに苦しんでいる人がいるが、あれは自己責任で、私が感じる必要はない苦しみだ」と思うようでした。

ということは、「自己責任」という考え方を人の心に叩き込むことによって、まるで除草剤を撒くように、雑草のように生えてくる「親切」という行いを、根絶やしにすることができるはずでした。

けれど、人は、長いあいだ、貧しい人や、死者や、動物たちの痛みを、いつも感じとって、親切をして、生きてきたのでした。その親切を失って、人がどうやって生きていくかは、「自己責任」という言葉をつくった手下たちにもわかりませんでした。

小沢健二「うさぎ!」第三話より

「うさぎ!」を読む会 (1)
6月22日(水)19時00 分より
わいがや亭(わこう村)
千葉県富津市小久保2209
http://www.wakoh-mura.com/

季刊誌「子どもと昔話」で2005年10月から連載が始まった、小沢健二さんによる『うさぎ!』を読む会を行っています。
3人の少年少女が「灰色」に立ち向かっていく寓話を読みながら、そこにとりあげられている、マネー資本主義、戦争、自然破壊、グローバリズム、食べもののこと、ネイティビティ、ケア、など、ボクたちの文明が抱える問題について、いっしょに考えていきましょう。

この会では、毎月一回一話を、みんなで少しずつ朗読していきます。今回は「第1話」を読んでいきます。

ゆったりと、感じたことを、話しあっていきましょう。

「うさぎ!」を読んだことのある人もない人も、
いっしょにやっていきましょう。
(「うさぎ!」をお持ちの方は持ってきてください。お持ちでない方にはコピーをお分けします。実費 をご負担ください。)

参加・無料

主催・特定非営利活動法人ディープデモクラシー・センタ

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